16年後の夏

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  16年後の夏。 2003年の夏はボクにとって特別な夏だった。世界的な猛暑で仏で何人も熱中症で亡くなったというニュースが流れた夏だった。

  あの時の夏のボクは、いろんな意味で生き様に勢いがあって、よく言えば精強性が有り余っていて、悪く言えば前のめりに全然余裕がない毎日だった。そんなときに見つけた最愛は、ボクを狂わせるには十二分な、そしてボクが苦しむにも十二分な人だった。この夏を境にいろんなものを失って、それでも止めることが出来なくて、精神的にボロボロになるまで突き進んだ最狂の恋愛だった。

   あれから16年。それでもあの夏を思い出して、後悔はしていない。あれからボクも変わったし、変わらなければ生きられない。歳を取ったとは思っていない。少しだけ冷静にあの夏を振り返れるようになった。そう、16年という時間がボクに、少しだけ余裕を与えてくれたんだ。