切ない初恋
もう遠い日の話になった。切ない初恋の話。
夜中に抜け出して、自転車で二人乗りで駆け出した。
「はじめくん!海!」
そう叫んだ彼女。他愛もない話をして、そして眺めた海。
肩まで伸びた綺麗な黒髪。
ゆるりと飾られた髪のリボン。
愛らしい眼鏡。
知的な眼差し。
全部大好きだった。あの頃のボクの全てだった。
でも、何も言えずに彼女は転校。
突然知らされた訃報。
不慮の事故。
彼女がいないこの世界で、ボクの初恋は永遠にあの頃のまま。
甘い香りのする愛らしいキミのまま、今も生き続けている。
忘れないよ、ずっと一緒だ。