誤解と深層(後編)
葉山から鎌倉を巡る突然のデート。
朝から繰り出しなのに、楽しい時間はあっという間。
愛らしい彼女の姿を、景色と共に目に焼き付けた。
若宮大路を右に、朝比奈へ。いろんな話をしながらベイブリッジへ向かう。みなとみらいの夜景を眺めながら関越へ向かう予定だったがここでハプニングがあった。10数年ぶりに大黒のループに来て、経路を間違えてしまった。もう一度ループに戻った関係で二度同じ夜景を観たけど彼女と過ごす時間が増えてちょっと嬉しかった。
その後は5号から美女木、そして関越。
「夕飯食べようよ。道間違えて遅くなったお詫びにおごる!」
と言って彼女のリクエストで和食のファミレス。彼女はマグロ丼、僕は和定食。「鮪好きなんですよ!」という話になって、じゃあ次は三浦に鮪を食べに行こうと次のデートが決まった。
彼女の家の側には小江戸の街並み。初めて観た景色に感激。
「楽しかったです!ありがとうございました。」
「こちらこそ、素敵な時間をありがとうございました!」
もうここを離れたくない。でも帰らねば。
この瞬間、僕は決めた。「必ずこの人を口説き切ろう」と。
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なんで18ヶ月前に気がつけなかったのだろうか。彼女は、鈍いとかそういうことじゃなくて、目を合わせて、じっくりと理解して、そしてランプに火を灯すように、そっとその気にさせる。それが必要な人だったんだ。彼女が慣れてないんじゃなくて、僕がこういう人に慣れていなかったんだって、思い知らされた。
この人は、彼女は僕の今までの経験の中で想定も遭遇もしていなかった人だったことを知り、あらゆることを誤解していたんだ。未熟だった。こんな大切なこと、そう、彼女の心の奥に秘めたその深層を知るのに18ヶ月もの時間を費やしたのだ。
ここから先は彼女の中のルールを理解して、そっと前に進んでいきたい。あの愛らしい姿、心地よい距離、優しい眼差し。そのひとつひとつを大切に愛したい。帰りの道中にそう心に決めた。
どうなるかなんてわからないけど、やってみる。
ボクはキミが好きだ。キミに決めた!