その先の景色が観たい
少しだけ、女性としての本能と衝動を揺り動かした次の朝。
彼女のTimelineは昨日までの喧騒が嘘のように沈黙している。
この沈黙の先に、僕は何を観るのであろうか。
沈黙が続くTlmelineはなんとなく予想はしていた。彼女は迷っているだろうし、悩んでもいる。一筋縄では行かないことなんか最初からわかっていたけど、沈黙の続くTimeLineがこんなに苦しく、そして愛しいと思ったことはなかった。
でも僕はこの沈黙に慌てたりはしない。彼女のレスが遅いのは今に始まった話じゃないし、きっと忘れた頃に返答されてくるだろう。もし来なくても顔を合わせてればまた再開できると僕は本気で信じている。
もし彼女に最初にデートした日からの18か月もの沈黙がなければ、僕は多分ここで彼女を諦めてしまっただろう。今なら彼女の気持ちが自惚れながら手に取るようにわかる。僕は葉山のデート以来、彼女を少しづつ、ずっと揺さぶってきたから。ここにきて彼女は、考えることに疲れてしまったようにも思う。おそらく今までこうやって揺さぶった男はいなかっただろうし、僕は逢う度に誰も見たことのないであろう彼女のその愛らく変化していく表情や仕草を、ずっと見続けているから殊更にその悩みが理解出来るのだ。なんと愛しく、なんと愛らしく、なんと切なく、なんと健気で、なんと頑なな彼女であろうか。。
そんな彼女を僕は穏やかに愛し始めた。だからこそ、この穏やかな感情を、この沈黙の如き特別な想いを、大事にしたいのだ。
慌てることなかれ。間違うなかれ。
その先の景色を望むというのなら。