未確の約束

f:id:hajime_tokyo:20191117220305j:plain

彼女は言った。「遠い日か、近い日か、いつか逢えますか?」と。

ボクは言った。「逢えますよ。望めばいつでも、ボクは必ず逢いに行きます」と。

いつ果たされるはわからない、「未確の約束」。

 

 現時点で、ボクは彼女の一枚の写真以外、何を見たわけでもないけれど、LINEのタイムラインだけで彼女といつか逢う約束をした。

 彼女には、ボクに逢いたいと思えるようになるまで、逢うことをボクから誘うことを避けていた。彼女にはボクの存在を十二分に疑ってもらって、根掘り葉掘り聞いてもらって、それで逢いたいと思ってもらわないと、ほんとに一時的な興味だけでどうでもいいところだけを見て、後から悪いところばかり見えてくるなんて状況ではどうにもならないと思ったからだ。

 ただ、その興味はボクが思っていたよりもずっと早く醸成された。目論んでいたわけではないし狙ってもいないけど、逢ってみたいと思わせられたということは、ある程度「安心感」を与えることが出来たと安堵している。そして、これまでの会話の経緯を勘案すれば、彼女が「逢いたい」と発するのは相当な覚悟とエネルギーが必要だったはずだし、何を取り繕ってもいい方に解釈することは難しい。だからこそ、この約束が果たされないかもしれない「未確の約束」であったとしても、それ自体に大きな価値がある。

 そしてこの約束は、安易に果たされないほうがいいと思っている。いろんなことが整ってからでも決して遅くはないし、ボクは何も急いではいない。 

 

 だから彼女に伝えた。「僕はいつでもここにいます。そして、心はいつもあなたに寄り添っています。」と。

 

果たされなくても、後悔はしない。

もう約束したのだから。